すっぴん★
「俺の周りは、薬品づけ。不純物無しの天然の野菜を見ると、俄然食
欲が沸いてきやがる。ああ、喰いてぇ~。たまらん。駄目かなあ」
「・・・」
素は答えが出来なかった。
「頼む。この通りだ」
俊介が素の顔を見て、両手をごりごりと擦り合わせた。
「いいよ」
素が微笑んだ。
「マジっすか」
「負けたわ。お宅の口説き方に。生野菜より新鮮だったわ」
「そーすか」
「しょうゆう事」
二人は、見詰め合ってけらけらと笑い合った。
勘定を済ませる間、素は店の前で俊介を待っていた。