すっぴん★

「俺の周りは、薬品づけ。不純物無しの天然の野菜を見ると、俄然食
欲が沸いてきやがる。ああ、喰いてぇ~。たまらん。駄目かなあ」


「・・・」


素は答えが出来なかった。


「頼む。この通りだ」


俊介が素の顔を見て、両手をごりごりと擦り合わせた。


「いいよ」


素が微笑んだ。


「マジっすか」


「負けたわ。お宅の口説き方に。生野菜より新鮮だったわ」


「そーすか」


「しょうゆう事」



二人は、見詰め合ってけらけらと笑い合った。
勘定を済ませる間、素は店の前で俊介を待っていた。





< 13 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop