すっぴん★
「この辺りがスタート地点だ」
俊介が声を弾ませた。
「私、42、195kも走れるかしら」
素は、マラソンのスタート地点を下見して実感が湧いて来たのか、少
し不安な顔を。
「大丈夫。大丈夫。歩いたっていいんだし。元気を出して。さあ、こ
こから下見をスタートしよう」
俊介が素を励ました。
「ええ、いいわよ」
俊介が、大きく自転車のペダルを漕いだ。
素も、自転車のペダルを力強く漕いだ。
素の顔からは、はちきれそうな笑顔が零れ、不安な表情は嘘のように
消えていた。