すっぴん★
「いったい何をしているの?」
バスタオルで汗を拭きながら素が呆れ顔。
「見たらわかるだろ。掃除。掃除だよ。ほら、こんなにたくさん。気
持ちわりぃ。しかし、よくこんな所で寝転べるもんだよ。呆れてモノ
が言えないよ。ああ、体がムズムズするよ」
俊介が、ちりとりの中のちゅるちゅるの毛を素に見せた。
「あ~あ、もうその気無くなっちゃた。帰ろかな」
素がビッグサイズの溜息をひとつ。
「もう、いや」
素は帰るそぶりを。
「帰る。それは、ないよ」
俊介が慌てて素を引き止めた。
「そんなに掃除が好きなら、ホテル中の部屋を掃除して上げたら。私
は帰るから」
素の怒りが収まらない。
「ごめん。ほらこの通りだよ」
俊介が、いきなり素に向って土下座をした。