すっぴん★



「どいて!」



「早くどいて!と、言っているのが分からないの」


素は両手で俊介の顔を、思わず力任せに押し除けた。


「痒い!」


「狂いたいほど痒い!ああ、痒いーなぜ?何故なのよー」


素が頬の辺りに指を当てて、狂ったように悶えている。


俊介は何が起こったか理解が出来ず、ただただ呆然と素を見詰めてい
る。
素の頬の辺りが、苺のように真っ赤にただれている。


「ああ、ぼりぼりと掻き毟りたい。狂いそうだよ」


「ああ、掻きた~い」


余りの痒さに、素が爪を立てて掻きそうになり、慌てて手を引っ込め
た。



「あんた、どんな化粧品使っているの」


素が、俊介を苺のような顔で睨み付けた。目は、憎しみが篭り、鬼の
ような顔になっている。








< 22 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop