すっぴん★
「どいて!」
「早くどいて!と、言っているのが分からないの」
素は両手で俊介の顔を、思わず力任せに押し除けた。
「痒い!」
「狂いたいほど痒い!ああ、痒いーなぜ?何故なのよー」
素が頬の辺りに指を当てて、狂ったように悶えている。
俊介は何が起こったか理解が出来ず、ただただ呆然と素を見詰めてい
る。
素の頬の辺りが、苺のように真っ赤にただれている。
「ああ、ぼりぼりと掻き毟りたい。狂いそうだよ」
「ああ、掻きた~い」
余りの痒さに、素が爪を立てて掻きそうになり、慌てて手を引っ込め
た。
「あんた、どんな化粧品使っているの」
素が、俊介を苺のような顔で睨み付けた。目は、憎しみが篭り、鬼の
ような顔になっている。