すっぴん★
山がある。
信じられないが・・・。
部屋の中に、小高い山がある。
登山者を寄せ付けない山がある。
クッキーの空き箱。食品のトレイ。スリッパ。Tシャツ。ジーンズ。
果ては、穿き古しのブラジャーまで。
ありとあらゆるガラクタの山。
ごみの山。
ここは部屋全体が、未開発国のごみで出来た山の一部の様。
その凄まじい事。凄まじい事。
そして、何とも息苦しい異臭がプンプンと。息をするのも嫌になる
位。
俊介は、生理的に嫌悪感をひしひしと感じていた。
(逃げろ。ここから、逃げ出すのだ)
超潔癖症の俊介の脳みそが、フル回転で指令を発した。
「じゃ、僕はこれで失礼します」
俊介が大急ぎで帰る体制を取った。その瞬間、かおるの手が素早く
伸びてきて、俊介の腕をしっかりと鷲掴みにした。