すっぴん★

「何よ、水臭い。上がって行き。あの山を二人で征服するんよ。ねえ
、ええやろ」




かおるが、山を見ながら並々ならぬ決意を述べた。

 
(怖い!)


化粧がまだらに剥げ落ちたかおるのこっけいな顔が、やけに綻んでい
る。


俊介は、思わず目を背けた。
かおるは自宅に戻ったせいか、酔いはすっきり醒めている様だ。


「僕は、これで・・・」


俊介は、帰る事にこだわった。


「あの山を見て、おじけついたんか。そやから、腰を抜かさんように
と、言うたやろ。何も怖いことあれへん。男やろ。さあ、入ろ」


かおるが、無理やり俊介を部屋の内部に押し入れた。



(絶体絶命。逃げられない)



天敵に睨まれた蛙のように、俊介は部屋の入り口で固まっていた。





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