すっぴん★
「すっかり醒めたわ。酔い醒めの・・・なんかええやろな」
かおるは、キスという言葉を口にせずにごくんと飲み込んだ。
(まさか、H)
(ううん。ぶるぶるぶる。それは、無い。絶対に無いだろう。こんな
汚い所で)
俊介は、首を大きく左右に振った。
「ねえ、ええやろ」
かおるが妙に色っぽい目をしている。
その気もその気。
かおるは超その気だ。
俊介は、そんな気は微塵も無い。それで、ただただ逃げの一手。
「酔いが醒めたなら、僕はこれで失礼します」
「そんなに急がんでもええやん」
かおるが強引に引き止める。
「また・・・」
俊介は意を決して、腰を掛けていたベッドから立ち上がった。
かおるは帰り掛けている俊介の腕を素早く摑んだ。そして、あっとい
う間に俊介を元の位置に引き戻した。