すっぴん★

俊介は、逃げるようにして自宅に戻って来た。


ごろん。


ベッドの上に、そのまま大の字に。


ガラクタの山。
化粧が、まだらに剥げ落ちた滑稽なかおるの顔。


先程の嫌な思い出が、俊介の脳裏に鮮明に浮かび上がって来る。
俊介はそれらを慌てて打ち消した。そして、別の事に意識を集中した。


別の事とは。
素と入ったラブホテルでの事。


あの時、アレルギーの犯人探しの為に、スマホで写真を撮ったけ。
スマホのアプリをタップして、あの時の写真を液晶画面に。


「まず、彼女の写真から」


俊介は、親指とひとさし指を広げて写真を拡大した。


「これは、酷い」


俊介は、食い入るように写真を眺めた。
素の額には、赤くただれた湿疹のようなものが無数に出ている。






< 60 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop