すっぴん★


高橋の自宅は、2LDKのマンション。
このマンションに高橋は、妹の沙樹と二人で暮らしていた。


ドアを開けて二人の顔を見掛けると、妹の沙樹は大変驚いた顔をした。
兄の横に、見慣れない女性が立っていたから。


深夜、0時過ぎに。しかも、清楚で美しい女性が、なぜ兄の連れなの
か?


女装で出掛けて行った兄の連れとして、素は全く似つかわしくない相
手だった。


「誰?」


沙樹がドアのノブを摑んだまま、驚いた目で兄の良樹に尋ねた。


「ああ、友達」

高橋が澄ました顔をして答えた。


「彼女?」                                        

沙樹が高橋に尋ねた。


「同級生。高校の同級生よ。偶然、コンビ二で出会ったのよ」


「同級生か。そうだよね。彼女の訳ないよね。連れてくるなら、てっ
きりイケメンの可愛い子とばかり思っていたけど・・・。楽しみにし
ていたのに」


「ごめんね。イケメンの可愛い子でなくて」


素が、沙樹に向ってオーバーに頭を下げた。





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