ロリポップ
「戸田さんは城嶋さんって彼氏がいるのは皆知ってますけど、逢沢さんは彼氏がいるのかいないのかってよく噂されてますよ。お二人とも綺麗だから」


 にっこりと微笑むそれにますますポカ~ンの私と友華。
 何?この子、天然?それとも偽装天然?
 

「ああ、音羽ね・・・峰 不二子だからね」



「峰 不二子 言うな!」


 何回言えば分かるんだ!



「どうして峰 不二子かって言うとだな、見た目が峰 不二子だからだよ。なんで、嫌がるんだよ~、友華なんか音羽と変わりたいってよくぼやいてるぞ?」



 うんうんと頷く友華。そして、ゲラゲラ笑ってる林田君。そして、ポ~とこっちを見ている恩田君。


「だーかーら!それが嫌なの!瑛太、今度言ったらセクハラで訴えてやるから!」


 人の気も知らないで。
 嫌なのよ、コンプレックスなのよ、この体・・・・・。
 人より大き目の胸も、お尻も。
 そのせいで、実際のサイズより細く見えてしまうウエストも。
 人からなんと言われようと、この体は嫌なのよ。
 

「痴漢に遭いやすいし、軽い女だと見られやすいし、よってくるのは体目当てみたいな男ばっかりだし・・・・・」



 言いながら文哉の事が頭の中でグルグル回っていた。
 文哉も結局は、私の体が好きだったのかな・・・。
 何回も抱き合ったのに、私のことを好きだと言ってくれたことあったかなって・・・・・。
 結局、愛されてたのは体だけだったのかなって・・・・・。
 だから、心が愛する人を見つけたから振られちゃったのかなって・・・・・。
 グルグル回り始める負のループ。
 心が弱ってる時って、そんなループに嵌ってる事にも気づかないから怖い。

 
「大丈夫ですか?」


 そっと手を握られて、ハッと顔を上げると穏やかに微笑む恩田君の顔があった。
 彼の手は、外回りで冷えていたのか冷たくて、でもその冷たさにホッとする。



「音羽?ゴメン、調子に乗りすぎました」


 申し訳なさそうに顔の前で両手を合わせる瑛太とその横の友華。林田君は相変わらずだけど。


「で、恩田はいつまで音羽の手を握ってるの?」


 林田君の間の抜けた質問に自分の手を見ると、確かに恩田君の手が重なっていた。


「ああ・・・!すみませんッ」


 慌てて手を離す恩田君が何だかおかしくて、私は笑ってしまった。
 すみません、すみませんと顔を赤くして言う恩田君は何だか可愛かった。

「お待たせしました~」と鍋が運ばれてきて、結局5人で鍋を囲んで飲んだ。
 正確には煽ったの方が正しいかもしれない。
 色々あったから、飲んで忘れようと思っていた。
 飲んで飲んで飲みまくるぞ~!!!とヤケ酒かんぱ~い!
 どれだけ飲んだかなんて全然覚えてない。
 いつ帰ったのかも記憶にない。
 でも、何だかスッキリした気持ちになったのは覚えてる。



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