ロリポップ
年末は実家で過ごした。
大晦日には高校の同級生達と同窓会をして、そのまま初詣に行った。
結局、初詣に行ったのは3人で、彼氏のいない3人・・・。
くやしいからお賽銭箱に千円入れて、3人で幸せになれますように!!としつこい位お願いした。
千円で三人分かよ、と神様もうんざりしていたかも・・・。
年明けは自分のワンルームのンマンションに帰った。
もう少しいれば?と言う母の言葉に、気持ちは傾いていたけど掃除も何もしていなかったし、兄達も帰ったので一緒に帰る事にした。
5日ぶりに帰る我が家はいつもと同じで、違う事といえば、炊飯器に入れっぱなしにしていたご飯が黄色に変色して異臭を放っていた事ぐらい。
一通り掃除を済ませて、空っぽの冷蔵庫を満たすためにスーパーに行く事に。
昔は元旦に開いているスーパーなんて無かったのに、今は普通に開いていて、そんなところはお正月らしくないな、と思う。
いつもの休日みたいな感じがする。
店先の小さな門松とかしめ縄とか、そんなものが置かれて無理やりお正月感を出しているみたい。
スーパーのカートを押しながら、食材を選ぶ。
一人は以外と買い物が難しくて、大きすぎるのは使い切るのに大変だったり、小さいのは量の割には値段が高かったりする。
買い物リストを見ながら買い物を進める。
カートを押して角を曲がった先にサラサラの栗色の髪が揺れていた。
後姿でも分かる恩田君は、紺地のコートに細身のジーンズ、スニーカーと言うラフな格好でドレッシングやタレが置いてある棚の間を歩いていた。
その横には、襟や袖口にファーの付いたコートに、ニットのミニスカートを履いた女の子がいた。
カートを押しながら歩く姿は恋人同士のようで、恩田君を見上げて話す背の小さな彼女は愛らしかった。
じっと見つめたまま、私はいつかの文哉の事を思い出していた。
道路の向こう側を歩いていった文哉がまっすぐに向かっていった先。
自分ではない誰かに向けられる笑顔。
目の前で今、起きているかのような記憶に頭をブンブンと振る。
「莉那、ちゃんと選べよ」
不意に恩田君の声が聞こえた。
顔を上げると、恩田君が彼女にドレッシングの瓶を指差しながら何か話していた。
ふっと顔を上げた視線が私の視線と重なる。
あ・・・・・。
先に目を逸らしたのは私。
クルッとカートの向きを変えて、私はレジへと急ぐ。
まだ、買い物リストの半分も入れていない買い物かごをレジへと進めて会計を済ませると、放り込むように袋につめてスーパーを出た。
まるで逃げるように。
胸が激しく脈打って、息苦しくなる。
走るようにスーパーを出て、駆け出した。
抑えていたものが溢れる様に、色んな感情が湧き上がって抑えられなかった。
その気持ちは甘いなんてものじゃなくて、苦くて切なくて苦しいだけのもの。
飲み忘れていた冷めたカフェオレのように。
大晦日には高校の同級生達と同窓会をして、そのまま初詣に行った。
結局、初詣に行ったのは3人で、彼氏のいない3人・・・。
くやしいからお賽銭箱に千円入れて、3人で幸せになれますように!!としつこい位お願いした。
千円で三人分かよ、と神様もうんざりしていたかも・・・。
年明けは自分のワンルームのンマンションに帰った。
もう少しいれば?と言う母の言葉に、気持ちは傾いていたけど掃除も何もしていなかったし、兄達も帰ったので一緒に帰る事にした。
5日ぶりに帰る我が家はいつもと同じで、違う事といえば、炊飯器に入れっぱなしにしていたご飯が黄色に変色して異臭を放っていた事ぐらい。
一通り掃除を済ませて、空っぽの冷蔵庫を満たすためにスーパーに行く事に。
昔は元旦に開いているスーパーなんて無かったのに、今は普通に開いていて、そんなところはお正月らしくないな、と思う。
いつもの休日みたいな感じがする。
店先の小さな門松とかしめ縄とか、そんなものが置かれて無理やりお正月感を出しているみたい。
スーパーのカートを押しながら、食材を選ぶ。
一人は以外と買い物が難しくて、大きすぎるのは使い切るのに大変だったり、小さいのは量の割には値段が高かったりする。
買い物リストを見ながら買い物を進める。
カートを押して角を曲がった先にサラサラの栗色の髪が揺れていた。
後姿でも分かる恩田君は、紺地のコートに細身のジーンズ、スニーカーと言うラフな格好でドレッシングやタレが置いてある棚の間を歩いていた。
その横には、襟や袖口にファーの付いたコートに、ニットのミニスカートを履いた女の子がいた。
カートを押しながら歩く姿は恋人同士のようで、恩田君を見上げて話す背の小さな彼女は愛らしかった。
じっと見つめたまま、私はいつかの文哉の事を思い出していた。
道路の向こう側を歩いていった文哉がまっすぐに向かっていった先。
自分ではない誰かに向けられる笑顔。
目の前で今、起きているかのような記憶に頭をブンブンと振る。
「莉那、ちゃんと選べよ」
不意に恩田君の声が聞こえた。
顔を上げると、恩田君が彼女にドレッシングの瓶を指差しながら何か話していた。
ふっと顔を上げた視線が私の視線と重なる。
あ・・・・・。
先に目を逸らしたのは私。
クルッとカートの向きを変えて、私はレジへと急ぐ。
まだ、買い物リストの半分も入れていない買い物かごをレジへと進めて会計を済ませると、放り込むように袋につめてスーパーを出た。
まるで逃げるように。
胸が激しく脈打って、息苦しくなる。
走るようにスーパーを出て、駆け出した。
抑えていたものが溢れる様に、色んな感情が湧き上がって抑えられなかった。
その気持ちは甘いなんてものじゃなくて、苦くて切なくて苦しいだけのもの。
飲み忘れていた冷めたカフェオレのように。