ロリポップ
 結局、夕食はコンビニで買ったキムチラーメンで。
 
 ビールを片手にボーっとしていた。
 つけっぱなしのテレビは、お正月の特番をやってるみたいで笑い声がずっと聞こえている。
 ただのBGMと化したテレビを消しもせず、開けたまま口をつけていないビールを片手に握っている。
 その中身は、すっかりぬるくなっている事が、ビール缶の温もりで分かった。


 飲む気になれないビールをテーブルの上において、ベッドに転がった。

 
 引き返す事も出来ない、かと言って恩田君に好きだと言う勇気も無い。
 
 ましてや、彼女がいると知ってしまった今、失恋するのは目に見えているのにそんなことが出来るはずもなかった。

 彼女、いないって言ってたのに。


 いつかの、信号待ちの横断歩道での会話を思い出してそう呟く。


 でも、あの時からだいぶ時間経ったものね・・・出来てても不思議じゃないか。

 同じ事ばかりずっと考えてばかりいるのに、行き着くところは同じで時間だけが過ぎる。
 食べかけのラーメンはすっかり伸びきって、カップの中で増殖しているし、ビールだって一気に飲んだってお腹痛くなったりしないなってくらいぬる~い。
 
 
 それでも、出る答えは一つだけで他の答えを見つけることは出来ない。

 それが正解かどうかなんて、分からない。

 間違っているのかもしれないし、答えは一つだけじゃないのかもしれない。

 でも、私は一つしか答えを持っていない。

 


 彼女がいる事実は変わらない。

 
 私が恩田君を好きと言う事実も変わらない。


 これが行き着いた答え。
 
 だからって、どうしようもない。
 
 どうしようもないんだから。

 今更、好きなのも止められない。



 乙女チック症候群はかなり重症らしいから。


 片思いでもいいって、切なく思ってしまうほど。


 
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