シークレット・ガーデン
やはり、スカートのウエストはきつかった。
ホックは留められず、ファスナーだけ上げた。
こんなもの30過ぎて着ることになるなんて……
もう笑うしかなかった。
なぜ、体育準備室なのかというと、光俊の実家の押入れから学生服が見つからなかったからだ。
会社の余興で必要なんだという息子の言葉を信じて、義母は必死に探してくれたらしいが、
(どんな余興だ…と光俊は自分で自分にツッコミを入れていた)
替わりに高校時代の『芋ジャー』を送ってくれた。
「俺も着替えたよ。ウエスト、ちょっときちぃ…」
といって寝室に現れた光俊の小豆色の芋ジャー姿は、ウケた。
真彩はお腹を抱え、涙を流して笑い転げた。
「やだ~あり得ない~…
今時、そんな色……
ズボンの下の方に変な輪っかみたいの付いてるし。
脇の白い縦線、太すぎない?
しかも、胸に白ワッペンで
『羽野』って名前、手描き……
いや~コントみたい~あり得ない~」
最初は光俊も一緒に笑っていたけれど、真彩があまりにも
『あり得ない~』を連発して笑い過ぎるので、だんだん顔がムッとしてきた。
彼は、お笑いがやりたいわけではない。