イケメンルーキーに恋をした
「そのままずっと見学してるつもりか?」
この険悪な部活の雰囲気に、キャプテンの岩石先輩でさえ、頭を抱えている。
返事をせずただボールを弄ぶ部員達に、先輩は腰に手を当てイライラしたように首を捻る。
「今度の練習試合、捨てるってこと?」
「…………」
「そうだよな、俺達はどーせ練習したって弱いからな。勝てるわけもねぇよな。予選すら勝てないわけだし?」
「…………」
岩石先輩が鼻で笑って嫌味な表情になる。
「いいんじゃねーの?それで。毎日そうやってろよ」
先輩はハッと息を吐き、「ちょっと休憩」と田尾くんに背中越しに言って体育館を出ていった。
あたしはただ、目だけをみんなに向けてそれぞれの表情を窺うだけ。