先天性マイノリティ



「不良に見えない不良だから質が悪いよね、コウって。周りからは立派な草食系だと思われてるみたいだし」


「人のイメージなんて充てにならないものの代名詞だろ。占いよりよっぽど命中率が低いよ」


「まあね、それは同感」


「思考回路がぶっ飛んでるからな、俺たち」



コウとメイの会話をBGMにしながら昼休みに購買で買った焼きそばパンを頬張る。

ラップに包まれて湿った紅生姜を指先で摘まんで避けながら空を見上げ、静かに流れる雲をぼんやりと眺めた。


今は窮屈な学校生活からも殺伐とした家庭環境からも解放される精神的フリータイム。

とても心地が好い。

コウは斜め上から見るのが癖で、その反対側からメイが覗き込む。

コウとメイには東西南北なんてなくて、あったとしても東と西を変えて遊んでしまう奴ら。

そんな感じだった。


…それを思うとやっぱり俺が一番まともだ。


その考えを読んだかのようにメイが話題を振ってきた。コウも続いて肯定をする。



「実際一番の変わり者はゼロジだよね」


「そう。メイに賛成」


「待てよ、なんでそうなる」


「ゼロジだから?」


「うんゼロジだからな。いきなりパン食い出すし」



一口ちょうだい、と呟いたコウが屈みかじりつく。

忠実な歯型通りに虫喰われた焼きそばパン。

メイが、あんたたちってバカップルみたいだよね、とからかう。

…今思えば彼女の勘は鋭い。

出逢って間もない俺とコウには当然、特別な感情はなかった。



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