*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「まるで、塗籠に入れないようにしてあるようだな……。


なにか訳があるのか?」








兼親が不思議そうに訊ねる。



六の君は内心冷や汗を垂らしながら、しどろもどろに答えた。








「ええ、あのですね………。


ちょっと、塗籠の中にしまってあった衣装や調度を、まとめて整理させているところでございまして。


たいそう散らかっていて、お見苦しゅうございますので、ひと様の目に入らぬようにしておりますの」







「ふむ………?」








兼親がまだ納得のいかない様子であったので、六の君は焦る。







(万が一にも、中を覗かれては大変だわ)







そのような事態に陥れば、あの青年がどんな目に遭うことになるか―――。







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