*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「………あ、そういえば、父上」







話の矛先を変えようと、六の君は唐突に話題を改めた。







「お母さまは、お元気でいらっしゃるのでしょうか。


わたくし、最近あまり連絡を取っておりませんのですけど………」







「………ん? あ、あぁ………元気だよ」








兼親は、唐突な話題の変わりように意表を突かれたのか、軽く目を見開いて頷く。








「まぁ、よかったですわ。


ひと安心いたしました」







六の君は明るい声音で応えた。




そのとき、廂に控えていた童が時刻を知らせてきたので、「おお、もう行かなくては」と兼親は立ち上がった。








「ではな、六の君よ。


また顔を見に来る、達者にしておれよ」







「ええ、お待ちしておりますわ。


父上こそ、お忙しいでしょうが、お身体を大事になさってくださいませ」







「あぁ、ありがとう。


そうするよ」








兼親はにこやかに北の対を立ち去っていった。






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