*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「さ。次は下よ。

ほらほら、さっさと立って、袴を脱いでちょうだいな」






「…………っ!」







青年は息を呑み、目を見開いた。




しかし六の君は構うことなく、にこにこしながら青年の腕をとり、起き上がらせようとしている。







「ほぉら、早く早く。

ゆっくりしてたら夕方になってしまうわ。

寒くて風邪を引いたら困るでしょ?」








小さな子どもに語りかけるように首を傾げる六の君。





青年は堪えかねて、とうとう口を開いた。







「……………っ、あほかっ!!」








記念すべき二言目である。






六の君は驚いて目を丸くしたあと、満開の花のような笑みを咲かせた。







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