*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「んまぁっ、蘇芳丸!

また喋ってくれたのね!


うれしいわ、私の思いが通じたのね?」






「…………」






「大丈夫よ。私が必ずあなたの怪我をかんぺきに治してあげるから。


そのためにも、ほら、身体を清潔にしなきゃ、ね?」







六の君が嬉しそうに袴を脱がせようとするので、青年は必死で腰紐を押さえながらまたもや口を開く。






「…………お前」






六の君はきらきらと期待に満ちた瞳で青年を見つめる。







「………お前には、恥じらいというものがないのか」







呆れ返ったような口調で青年が問うた。






「え? 恥じらい?」






六の君は小首を傾げる。







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