*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「まぁっ、蘇芳丸!!

あなた、そんなにたくさん話せるのね!!


とってもいい声をしてるじゃないの。

もっと喋らなきゃもったいないわよ」







青年は項垂れた。







「…………お前、本当に、俺の話、ちゃんと聞いてたか……?」






「んま、もちろんよ!


だからびっくりしてるんじゃない。


蘇芳丸が突然長々と言葉を話したから」






「…………もういい。


とにかく、下は後で自分で拭くから……。


そこに濡れ布を置いておいてくれればいい」






「………あら、そう?」







六の君はたいそう残念そうに唇を尖らせ、布を角盥の湯の中に浸した。





どうにか下半身だけは死守した青年は、大きく溜め息を吐き出した。





やっとゆっくりできるーーーと安堵したのだが。







「よし、じゃあ、次は髪ね!!」







元気よく宣言した六の君を、青年は絶望の目で見つめ返すしかなかった。





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