*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「あぁ、そうだ。


髪梳きは外でやりましょうか」






ふと思いついたように、六の君が提案する。






「そういえば蘇芳丸、ずうっと外の空気を吸っていないものね。


いい気分転換になるのじゃないかしら」






「…………」







青年は答えなかったが、それは肯定の証だろうと六の君はまたも独り合点した。







「父上もお仕事に行かれたし、今ならきっと簀子まで出ても大丈夫よね。


よし、行きましょう、蘇芳丸。



あ、一人で立てる?


私、支えてあげるわよ」








青年は六の君の申し出を無視して、一人ですっくと起き上がる。







(……まぁ、そっけないんだから、蘇芳丸ったら)







六の君はつまらなそうに唇を尖らせた。






とにかく、世話を焼きたくて仕方がないのである。



青年にとっては迷惑でしかないのだが。






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