黒鴉-黒の王-
深々とただ頭を下げる。
畳の冷やりとした温度が伝わってくる。
私の頼みがどんなに唐突で重大なものかは一応重々承知だけど。
・・・・これだけは。
「ねぇ摩耶ちゃん?ちょっと顔を上げてみてはくれないかい?」
「あ、はい!」
芙蓉さんが近づいてきて私の頬を細い指が触れる。
どうか、もうここまできたらどうなってもいい。
芙蓉さんと目が合ったときはぁと小さく溜息をこぼした。
「嘉六、この子は本気だよ。
この目、見てごらんよ?大丈夫だ、この目があれば何があっても乗り越えられるだろうよ」
嘉六さんは
「芙蓉の勝ちじゃのういう」
そういうと笑って見せた。
芙蓉さんが「頑張んな」といい私の頭をぽんぽん、と撫でた。
「じゃあ・・・」
「そう、合格だよ。行ってみてごらん。帝様のところに」
「ありがとうございます!」