黒鴉-黒の王-
「・・・そうだ嘉六。
ちょうど朝廷が帝様の新しいお気に入りを探していたはずじゃないかい?
そこなら・・・危険だけど帝様にも近づけるんじゃないかい?」
「確かに・・・
しかしな・・・いささかそれは危険すぎるじゃろ」
「そうだけどさ、そうでもしなきゃ一生あのお方を見ることも近づくことすら困難だよ。
多分それが一番大きなかけだけど早く近づける方法じゃないの?
それに・・・帝様はお気に入りと作らないって有名じゃないの。
お気に入りにならなかったら普通にこっちへ戻されるし・・・・」
「あの・・・お気に入りってなんですか?」
二人はああ、といった。
「お気に入りっていうのは将来の正室、側室候補の事さ。
あのお方、相当色男らしいんだけど不思議なことにそういう女は作らないって有名なのさ。
なんでもどんなに有力な臣下の者が女人をすすめてもそれは一夜限り。
一晩の契りで終わるらしくて。
流れた涙は星の数。
それで困りに困ったその臣下たちは広く一般の女人から募集をかけ始めたのさ」
「正室・・・側室・・・。ってことは結婚相手ってことですか?」