サヨナラのしずく
ユウカさんはあたしの名前を呼ぶなり抱きついてきて泣いていた。



あたしはそのままユウカさんと、一緒に来ていた椿連合の人とタクミさんのところへと行った。



タクミさんはすでに警察署からお葬式をあげる式場へと移動されていた。




柩に眠るタクミさんの側に座り込んであたしはただ夢であってと願った。



おばあちゃんがいなくなった時もこんな寒い日だった。



もう、誰かの死んだ姿なんて見たくなかった。



なのに…なのに…。



あたしはひたすら柩の側で黙って泣いていた。





「……雫？」




後ろから名前を呼ばれたけど振り返る気力もない。




「なんで、お前がここに…」




あたしは後ろで名前を呼ぶのが俊平だと気づいていたけど、答えることはしなかった。




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