ゴッドネス・ティア
「んどわぁああーーーっ!!!」



「ぁぎゃぁぁああああーーーーーっ!!!」



その頃、前方で悲鳴のような雄叫びのようなぶざまな声が聞こえた。



「ちょぉっとぉぉおっ、レオナ何すんのよぉおっ!!」


「いい痛い痛いっ、ヒサノ痛いって!」



派手にこけた二人組、レオナとヒサノは重なるように地面に転がっている。


こけた原因の張本人であるレオナはヒサノの下敷きになり、苦しげに顔を歪めた。


その上でぷんぷんと腹を起てているのは先程までレオナと手を繋いでいたヒサノ。


レオナがこけた拍子に巻き添えをくらい、あんたのせいよと素に戻ってレオナを怒鳴り散らす。



「だ、だってなんかに突っ掛かって…」


「そんなこと知らないわよ!
一体どこのどいつに突っ掛かったっていうのよ!」



あまりの剣幕にさすがのレオナも顔をひきつらせた。


今にも胸倉を掴まれそうだ。


そんな時のためにとりあえず胸の辺りを守る。


そして、ヒサノに返答するために原因であるものを指差した。



「…こいつ?」


「ん…?」



ヒサノは自分の下敷きになっているレオナのさらに下を見た。


よく見るとレオナのまたさらに何か下敷きになっている。



「とりあえず退けてくんねーか?
じゃねーと、下のやつが何かよくわかんねぇのよ」


「うん、わかった」



この濃い霧の中、ヒサノの表情を見るのもままならないのに、下敷きになっているやつの全体像など見れるはずもない。


ヒサノもそれを察したのか、素直に従った。



「ふぅー…重かった」


「なんですって!!」


「わーー!嘘、嘘だからー!!」



気分がすこぶる悪いヒサノを回避して、下敷きにしてしまった物を手探りで掴んだ。


確かめようと持ち上げようとするが、異様に重い。


しかもなんか柔らかいし…


………気持ちが悪い。


とても嫌な予感が脳裏に過ぎった。



「ヒサノ、これマジ重い。手伝って」


「もうっ、しかたないですねぇ…」






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