ゴッドネス・ティア
「……えっと…」



答えに迷った。

自分は見てはいないがスノーリアいわく死体がゴロゴロ転がってたみたいだし。

アランはただ表情を曇らせた。


ヒサノも言いにくそうに顔を伏せている。



「………ま、全滅だろうね」


「すみません、間に合わなくて……」



自分達の表情を見て察したのか罰が悪そうに顔を歪ませた。

それに申し訳なさそうに俯きながら謝るヒサノ。


そんなヒサノに女性は首を横に振ってニコリと微笑んだ。

綺麗の中の綺麗の中のそのまた特別な綺麗、と言いたくなるような顔立ちに、その笑みはとてもとても綺麗――…いや、美しかった。



「別にいーよ、アンタら関係ないし」


「そんな…私達は…」


「……それに――…」



美しく微笑んだ女性に頬を赤く染めながらヒサノが口を開くと、それを遮るようにまた女性が口を開いた。

笑ってる。

でも今度はどこか雰囲気が違って。




















「別にアタシはどーでもいーし」



冷たい冷たい、温かみのカケラもない笑み。

けれどその表情は明るくて、裏が読めないような…


冷たいけれど明るい不思議な微笑みだった。



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