ゴッドネス・ティア











「だから、そのおちゃらかした言い方やめてください!」


「何回も言うけど、アタシはもともとこんな言い方しかできない性でね。
そんな無理難題アタシには無理さ」


「無理難題なんかじゃないでしょう?!
私はただケルサニオスの人達の心配でもしたらどうかと…!」


「だからね、アタシはケルサニオス嫌いだったから、そんな心配なんかこれっぽっちも考えられないんだよねー、何回も言ってんじゃん。
もしかして頭空っぽ?」


「な、なんですって?!!」



あれからこんなやりとりが何回も何回も繰り返されている。

さすがのヒサノ好きアランもひくひくと頬を引きつらせて、苦笑い…いや、引きつり過ぎて少しも笑えてない。


ヒサノが叫んでは流され、また喚いてた受け流され、またまた嘆いては反論されて疲れて見えるのはヒサノだけだ。

女性は涼しい顔で自分の髪の毛先をクルクルと指で巻いていじっている程余裕だ。


反してヒサノは肩で息をして、拳で汗を握る。

アランにとって、初めてヒサノが惨めに見えた瞬間だったり。


そんな微妙で苦い空気の中、救世主が現れた。



「ヒサノ、無事か!」


「大丈夫ですか!」


「走るの疲れたっ!」



食料調達に行ったはずの国王騎士達が戻って来たのだ。

一人ポツンと残された気がしていて寂しい思いをしていたアランは、メルス様なんかより三人が女神に見えたとか。

三人共口々に言葉を発するが、約一名話題がズレていることはあえて気にしないとしておこう。



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