危険BOY'Sにキスをして。

「此処…で良いか。」

そう言って、ヨウは
あたしの腕から 手を離した。

場所は…

あの、屋上。


「一体 何なワケ!?
 今は、体育祭の途中「もう、やめろ!」…ぇ ?」

ヨウのいきなりの大きな声に、
あたしは ビックリした。

「どうして、アイツじゃなきゃ 駄目なんだよ…!」

「…っ!」

身体全体に伝わる、あたたかな温もり。

…そっか。

あたしは ヨウに
抱き締められているんだ…。


「いい加減、分かれよ…っ!
 叶わないんだよ、アイツとの恋は…!」

「…っ!!」


“叶わない”

その言葉だけが
あたしの脳内を 駆け巡った。


「アイツが もっと芸能界で 活躍する事になったら…
 いつか離れて 全く会えなくなるんだ!


“いつか離れてしまう”

分かってるよ、そんなこと…。


「そんな相手を想っても 意味なんてないだろ… !」

…でも、ね?

(ドンっ!!)

「絵「そんなのあたしの勝手でしょ!?」…っ 」

抱きついてきた ヨウをあたしは…
乱暴に 振り払ってしまった。


「ほっといてよ、もう…っ!」

諦めろ、とか
やめろ、とか

みんなが言う。


イツキだって…

あたしのことをどう思ってるか。
なんて分からない。

フラれたのかな、あたし…。


…でも。

それでも!


「…諦めないよ。」

「絵梨チャン…」


あたしが、好きな人?

イツキ?
それとも、ヨウ?

それは…
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