危険BOY'Sにキスをして。
『昼休みは、12時半から1時半。
集合は、開会式の隊形。』
マイクから響くヨウの声。
あの呼び出しは、午前の部と午後の部の間の 昼休み放送の為だった。
あの後…
青組の応援席へと戻ったあたしは、静かにヨウの放送を聞いていた。
『…以上。』
「……」
その声は、
“さっきまで、何も無かった”
そのように感じた。
「絵梨さん。」
「…!」
「もし良かったら、ご一緒に食べない?」
後ろから聞こえる声。
優子、だ。
「ぇ? あ、うん…良いよ?」
なぜ?
「それは、良かったわ!
別のクラスの子に、貴方の事を紹介したかっ たの。」
どうして?
「では、屋上に行きましょ?」
何で…?
何で、優子が あたしを誘うの?
その答えは、分かっていた。
どうせ…
「イツキのこと?」
屋上へと続く階段で、優子に問う。
「…ふふっ、まさか。」
「は?」
優子の笑い声と言葉に、あたしは意味が分からなかった。
…イツキの事じゃないの?
違うの?
あたしが、頭の中で 考えていると
「この扉を開けると、分かるわ。」
屋上への扉の前で立ち止まる、優子。
「どうぞ?」
「……」
「どうしたの? 行かないの?」
「…何を考えてるの?」
「さぁ…ね。
あ、でも大丈夫よ? 櫻井くんの事じゃないから。」
裏のある笑顔で、そう言う左隣の彼女。
そんな優子の顔を横目で見る、あたし。
あたしは一呼吸し、扉に手をかけた。