危険BOY'Sにキスをして。

「わ、わたしが、可哀想ですって…!?」

想像通り。
優子は、動揺を隠しきれない様子。

プライド、と言うものは…
どんな人間でも 持っているからね。

優子なら尚更。
プライドの塊、って感じ。


「邪魔な人間を虐めなきゃ、
 好きな人を振り向かせれない。だなんて…
  凄く可哀想な人だと思うけど?」

「…っ…」

「まぁ、それでもアンタは…
 好きな人を 振り向かせれてないけどね。」

クス、と 笑いながら言う、あたし。

こんな時に 思う。

“自分は、なんて性格が悪いんだろう”って。


「李鈴さん。」

「…何?」

名前も知らない女生徒が、優たしの名を呼ぶ。
優子しか 目に入ってなかった。
優子の仲間の他の女子なんて、居たことすら忘れてた。

「私達が黙ってたら、いい気にのって…!」

「いい気にのった?」

あたしが訊くと、口を閉じていた優子が…

「『李鈴さんが私を苛めた』と言ったら…
 貴女は『違います』と言うでしょうね。
  …でも。先生は どちらを信用するかしら? 」

勝利の笑みをしながら言う優子。
ホントにムカつく女だ。

「信用も何も…
 先生は、現実を追求すると思うけど?」

あたしは、こんな事を言ってるけど…
実際には「優子」と思ってる。


高1の時。
苛めを受けていた友達がいた。

…でも。
先生は、その生徒が言う“苛めの犯人”に聞か なかった。

ただ…
「大丈夫だから、安心しなさい」 と言っていただけ。

何が「安心しなさい」?
安心出来るわけないのに…

結局。
その友達は 転校してしまった。


…先生なんか、信用出来ない。

頭が悪い生徒。
頭が良い生徒。

先生は、どちらかを贔屓するの?
それとも、平等に接するの?

答えは見つかっているんだ…。
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