Hair cuts
「おかしいと思ってたんだ」

俺と愛華の顔を交互に見つめながら、浩人は自虐的な笑みを浮かべた。今まで見たことのない冷めた浩人の顔に俺は硬直した。

「違う!」

なんとか声を振り絞った。浩人は誤解している。俺と愛華ができているって。でも、あの状況でなんと言い
訳ができただろう。第一、俺たちは潔白ではなかった。一度だけとはいえ、体を重ねたのだから。

そのせいで、俺も愛華も浩人を真っ直ぐに見つめられなかった。それが答えだと浩人が思ったとしても仕方が無い。

「まさか、親友のお前に裏切られるとは思っていなかった」

声を震わせながら、浩人がにじり寄って来た。その顔は驚くほど冷酷で、眼は憎しみと絶望の入り混じった炎で燃えていた。

「違うんだ。お前は、間違ってる。このままじゃ、お前も愛華もだめになる」

そう言った俺の声も情けないほど震えていた。長年親友だと思っていた浩人が怖かった。狂人のように映った。
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