Hair cuts
「なんで、みんな俺を捨てるんだよ。裏切ろうとするんだよ」

浩人が手当たり次第にその辺にあるものをなぎ倒した。

がちゃーんと音がして、ロッドケースが割れた。オレンジ、ピンク、青、紫…。色とりどりのロッドが散らばった。見本のシャンプーが飛び散り、甘い芳香に包まれた。床がぬめぬめとした沼と化した。

「行かせない」

そう言うと、浩人は棚から何か取り出した。それは蛍光灯に反射して、冷たい光を放ち輝いた。

浩人の親父が注文して、使うことなく死んでった形見の品。シェービング用のレザーだった。

「俺を裏切るなら、お前ら二人とも、死ねよぉ」

そう言って、浩人がこちらに向ってきた。そこからはまるでスローモーションのようにゆっくりと時間が過ぎた。
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