Hair cuts
俺に真っ直ぐ向って来た浩人は、怒りに任せてレザーを振り回した。俺は咄嗟に顔を庇った。

次の瞬間、腕が熱くなり、血が吹き出た。俺は浩人に切られたのだ。

恐怖のあまり声も出なかった。もう愛華の存在も忘れていた。情けないけど腰を抜かした。

それでも無意識に浩人を蹴り上げていた。浩人はゾンビみたいにゆらりと立ち上がると、もう一度俺に向ってきた。もうだめだと思った。でも、浩人は自分でぶちまけたシャンプーに足を取られた。そしてバランスを崩し、前のめりにゆっくりと倒れた。

(浩人!)

その刹那、俺の背後から愛華が飛び出し、倒れた浩人に駆け寄り抱きとめようとした。それに驚いた浩人が、手に持っていたレザーを慌てて引っ込めた。

しゅっと空気を切るような音がした。

新品のレザーは勢いよく愛華の首をかすめた。

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