魅惑の果実
ベッドに腰掛け、煙草を吸う桐生さん。


そんな桐生さんにぐったりしながらもピトッとくっつく私。


この時間も至福の時だ。


煙草を吸いながらも、空いている手で頭を優しく撫でてくれる。


なんなのこの手。


気持ち良過ぎる。


顔がにやけちゃう。



「日曜日友達のバスケの応援に行ってくるね」

「そうか」

「その友達男なんだけどね、すっごくイケメンなの」

「へぇー」



へぇーって……。


いくらなんでも反応薄くない!?



「心配になんないの!? バスケしてる姿見て好きになっちゃうかもよ!?」



そんなことは絶対にないけどさ。


私はただの明日香の付き添いだし。



「俺を妬かそうとしているのか?」



桐生さんは煙草を消しながら視線を流した。


なんて色っぽいんだろう。


キュンキュンしてしまう。



「べ、別にそんなんじゃないもん」

「他の男がいいならそっちへ行くといい」



何それ。


そんな言葉が欲しかったんじゃない。


ベッドの中に入ってきた桐生さんに抱き寄せられた。


でも顔を上げることができなかった。



「まぁ、俺から離れられるとは思えないがな」

「え……?」

「お前に俺のこの腕を振り払えるのか?」






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