魅惑の果実
サラッと言われた言葉は私の胸を抉るようだった。


消えてって……いくらなんでもそれは可笑しくない?



「私は桐生さんと真剣にお付き合いしてます。 ですから咲さんにそんな事を言われる覚えはありません」



咲さんのお客さんを寝とって自分の売り上げにしたいとかそんなんじゃない。


私は桐生さんの事を本気で好き。


いくら咲さんでもそんな事を言う資格はないと思った。



「へぇ……そんな事言っちゃうんだ?」

「…………」

「じゃあ言っちゃってもいいんだよ?」

「言うって……何をですか?」

「通ってる高校の人たち、それとご立派なお父様に、ね?」



一気に頭の中が真っ白になった。


私の事調べたの?


嘘……。



「政治家の娘がキャバで働いてるなんてマズイんじゃないの? それにまだ高校生だし? でも綺麗さっぱり桐生さんから身を引くなら、黙っててあげてもいいよ?」



こんなに誰かの笑顔を不気味だと思ったの初めて。


それに胸に渦巻くこの感情……怒り?軽蔑?それとも憎悪?


とにかくうまい言葉が見つからない。





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