魅惑の果実
「美月だけが我慢するの? そんなの可笑しいよっ」

「失うものばっかりじゃないよ。 私には強い味方が一人増えたんだもん」



まだ何の反応も見せないお腹に触れた。


まだ頭が混乱してる。


正直不安しかない。



「たとえ二人きりでも、生まれてくる子が笑顔でいられるような、家にしたい」

「本気なんだね?」

「うん……」

「だったら私も力になる」

「明日香……ありがとう」



明日香の存在に凄く救われた。


側で支えてくれる友達もいる。


私は一人じゃない……そう何度も自分に言い聞かせた。



「帰ろう」



私がそう言うと、明日香は笑顔で頷いた。


私たちはお店を出て無言で駅に向かった。


けど寮が近付くにつれて会話も増えていった。



「お店に荷物取りに行くの?」

「ううん、もう捨てて下さいって言った」

「そうなの!? 勿体無い」

「そうだよね……お店で使ってたブランドのポーチ売れたよね」



いい値にはならなかっただろうけど、それでもお金にはなったし取りに行けばよかったかな?


いや……そんな事してまた咲さんに会いたくないし、これで良かったのかも。





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