魅惑の果実
美羽の笑顔を見て、私の決断はほんの少しでも意味のあるものの様に思えた。
「気にしなくていいよ。 誠治と仲良くね」
「うん。 お姉ちゃんは彼と上手くいってる?」
「私は別れちゃった」
桐生さんからの連絡はない。
自分から勝手な別れ方を選んだくせに、桐生さんからの連絡を待ってる。
「……ごめんなさい」
「あ、ううん、付き合い出したばっかりの美羽にこんな話ししてごめん。 美羽……幸せになんなよ」
「え? お姉ちゃ……」
笑ってその場を後にした。
世間知らずの美羽だけど、誠治だったらきっと色んな事を教えてくれる。
それにお互い親が政治家。
反対する人はいないだろう。
私もそういう人と恋に落ちたらこんな事にはならなかったのかな?
そう思いながらも、それが私にとって幸せになったとは思えなかった。
書斎のドアの前。
小さく深呼吸をした。
そしてノックもせずにドアを開けた。
「ノックも無しに誰だ」
椅子に座った父が顔を上げ、眉を寄せた。
分かっていた事だけど、歓迎されていない様だ。
「誰も通すなと言っていた筈だが?」
「話があるの」
「今は忙しい。 またにしろ」
「勝手に話すから、どうぞ仕事を続けて下さい」
「気にしなくていいよ。 誠治と仲良くね」
「うん。 お姉ちゃんは彼と上手くいってる?」
「私は別れちゃった」
桐生さんからの連絡はない。
自分から勝手な別れ方を選んだくせに、桐生さんからの連絡を待ってる。
「……ごめんなさい」
「あ、ううん、付き合い出したばっかりの美羽にこんな話ししてごめん。 美羽……幸せになんなよ」
「え? お姉ちゃ……」
笑ってその場を後にした。
世間知らずの美羽だけど、誠治だったらきっと色んな事を教えてくれる。
それにお互い親が政治家。
反対する人はいないだろう。
私もそういう人と恋に落ちたらこんな事にはならなかったのかな?
そう思いながらも、それが私にとって幸せになったとは思えなかった。
書斎のドアの前。
小さく深呼吸をした。
そしてノックもせずにドアを開けた。
「ノックも無しに誰だ」
椅子に座った父が顔を上げ、眉を寄せた。
分かっていた事だけど、歓迎されていない様だ。
「誰も通すなと言っていた筈だが?」
「話があるの」
「今は忙しい。 またにしろ」
「勝手に話すから、どうぞ仕事を続けて下さい」