君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「えっ...あっ、すみません!失礼しました!


やだやだ。何やってんのよ、私ってば。今は仕事中だっていうのに。
...いくら橘さんにあんなこと言われたからって。


慌てて頭を下げるものの、聞こえてきたのは副社長の笑い声。


「アハハ。別に構わないよ?櫻田さんにならいくら見られても」


「なっ...!」


また副社長ってば人をからかって...!


「...もう。本当にいい加減にして下さい。人をからかうのは」


いちいち反応してしまう自分自身にも嫌になる。


「それにこんなところ、万が一誰かに見られたりしたら大変です。...縁談の日も近いんですから」


そうよ。変な噂でも広まってしまったら大変だわ。それこそ秘書失格よ。


「先程は失礼しました。仕事に戻りますので」

副社長に一礼し部屋を出ようとドアの方へと向かう。そしてドアノブに手をかけた時、聞こえてきた声。


「冗談じゃなかったらいい?」


えっ...?


その言葉に身体の動きが止まってしまった。

そして引き寄せられるように振り返り副社長を見る。

いつもとは違う真剣な面持ち。

そんな副社長から視線を反らせない私。


「冗談じゃなかったらいい?...櫻田さんのことからかうの」


「...な、に言って...」


「本気だったらこれからもずっと櫻田さんのこと、からかい続けてもいい?」
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