君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「...副社長...」


やだ。何?これもまたいつもの冗談?
私がこうやってあたふたする姿を存分に見て楽しんで。そしていつものように笑って『冗談だよ』って言うつもり?

...ううん。きっとそうよね。そうに決まってる。

「あの...」

なのに副社長の表情は変わることなく、ゆっくりと私の方へと歩み寄って来る。ドアの前にいる私には逃げ場などなくて、歩み寄ってくる副社長をただ見つめることしか出来なかった。

そして次第に縮まっていく距離。


あと数歩のところで副社長の足は止まったけど、副社長と私の距離は近くて意識したくないのに、嫌でも意識してしまう。
だって私、こんな副社長知らないから。


言葉など出るはずもなく、ただ副社長を見つめたまま言葉を待つことしか出来なくて。そして願わずにはいられなかった。

お願いだからいつもみたいに笑って冗談だよって言って欲しいって。


どれくらいの時間が過ぎただろうか。お互い見つめ合ったまま。きっとたった数秒間だったのかもしれないけど、私にはとても長く感じてしまった。


「........なーんて、ね!びっくりした?」


「...え」


目の前にはいつもの副社長。さっきの副社長の言動がまたいつもの冗談だと理解するのに、時間がかかってしまった。


「それとも櫻田さんは、冗談じゃない方がよかった?」


「...!!そんなわけありませんっ」
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