君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「大丈夫ですか?」

「うん…どうにか」

今は病院帰りのタクシーの中。
点滴をうってもらい、薬も処方してもらった。
だけど、驚いた。病院で熱を測ったら39.6℃もあったんだから。
とりあえずインフルエンザのようなウイルス性のものではなかったから、ひと安心したけど。
…でもいくら点滴をうってもらったからと言っても、二~三日は安静が必要な状態。

隣に座る副社長を見ると、相変わらず苦しそうで目を瞑っている。

「副社長、大丈夫ですか?なにか飲みます?」

病院の自販機でポカリ買ったし、少しでも水分をとった方がいいわよね?

そう思い、鞄からポカリを取り出そうとした時

「ごめん、膝借りるね」

「えっ?膝?」

次の瞬間、膝にあたたかいぬくもりと重み。

そして下を見ると、初めて見る副社長のつむじ。

「えっ!副社長!?」

予想も出来ない状態に私の頭の中はパニック状態。

だけど慌てているのは私だけで、副社長は苦しそうに肩で息をしている。

…本当に辛いんだよね、座っていられないほど。

ごめんなさい圭吾さん。少しだけ…。

「…会社についたら、食堂の調理師さんにおかゆ頼んでおいたので、食べて薬を飲んで下さい…ね?」

「…了解」

少しして規則正しい寝息が聞こえてくる。

寝ちゃった…?

ふと病院でのお医者様の言葉を思い出す。


疲労からくるものだって言っていたけど…。
そうだよね、誰よりも会社のために働いているのは副社長で。
でもそんな素振り全く見せない人なんだよね。

「…早く結婚してください」

ポツリと漏れる言葉。

誰か一人でもいいから、ちゃんと弱音を吐ける相手を見つけてほしい。
< 125 / 368 >

この作品をシェア

pagetop