君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「すみません、木村さん!本日はここで失礼しても大丈夫でしょうか」

「それはもちろん。下にタクシー呼ぶよう伝えておこう」

「すみません。…本当に」

こんなに具合悪そうなのに。

「…本当は私、副社長が体調悪いこと知っていたんです」

「えっ?」

なのに三田社長に対応してもらって。

「私のせいです…」

私が三田社長のことに首を突っ込もうとしなければ、こんなことにはならなかったかもしれないのに。

「…あはは。櫻田さん、それはさ、違うよ?」

「副社長!?」

辛そうなのに無理していつものように笑う副社長に胸が痛む。

「部下を守るのが上司の務めだろ?」

えっ…。ちょっと待って。その台詞聞き覚えがある。

「出たな。大杉君の口癖が」

「当たり前ですよ。…自分の部下を守るのが」

「……」

印象的な台詞。

「これが大杉君の最大の経営理念でね。こればっかりさ」

…そっか。あの時の圭吾さんの台詞は副社長の言葉だったのね…。

「下まで手を貸そう」

「あっ、すみません!」

ボーイの人と変わり、副社長を支える。

「悪いね、櫻田さん。俺のこと家まで運んでもらってもいいかな?」

「そんなの当たり前じゃないですか!責任を持って家まで運ばせて頂きます!!」

到着したエレベーターに乗り込み、一気に下まで降りる。
タクシーは既に到着しており、木村さんに手を貸してもらいどうにか副社長をタクシーに乗せることができた。

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