君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
冷たい風が車内に入らないよう、すぐにドアを閉める。

「運転手には部屋まで手を貸してくれるよう頼んでおいたから」

「本当、色々とすみませんでした」

大きく頭を下げる。

せっかくの記念セレモニーだったのに。

「櫻田さん、頭を上げて下さい。…私は嬉しかったですよ。無理してでも出席してくれて」

「木村さん…」

「私は大杉君が可愛いが、それ以上に彼の手腕に惚れているんだ。…伝えておいてくれ。これからも末永くお付き合い頼むよって」

「…はい。必ずお伝えします」

もう一度お礼の言葉を伝え、タクシーに乗り込む。

「すみません、…お願いします」

「はい」

運転手に住所を伝え、いまだに外で見送ってくれている木村さんを残し、タクシーはゆっくりと走り出す。

隣に座る副社長は本当に苦しそうで、額に光るのは汗。

慌てて鞄の中からハンカチを取り出し、そっと額の汗を拭う。

「……櫻田…さん?」

「すみません。汗を掻いていたので…」

やばい。出過ぎたことしちゃったかも。

すぐに拭く手を引っ込めたのに、なぜかその手を副社長は握った。

「え…副社長?」

どうしたの?

手を握ったまま私を見つめる副社長。

「…ごめん、膝貸して」

そう言うと昼間と同様私の膝に頭を預けてくる。

「は、い…」

だけど私の手は握ったまま。
熱があるから?だから不安なの?

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