君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
タクシーの車内から次第に口数が減っていった圭吾さん。

「いると思いますので…」

「あぁ…」

圭吾さんの一歩前を歩く。

圭吾さんには申し訳ないけど、緊張している圭吾さんを見ると本当可愛くて仕方ない。
だっていつも圭吾さんは私なんかよりずっと大人で頼りになって、年上の人で。
そんな圭吾さんが今、緊張でいっぱいで私の一歩後ろを歩いている。

インターホンを押すと聞こえてくるお母さんの声。

「お母さん、私!」

少しして開かれる玄関のドア。そこには久し振りに会うお母さんと、その後ろにはお父さんの姿があった。

「ただいま。…えっと」

いざ対面するとまた緊張してきてしまった。圭吾さんのことを紹介したいのに、言葉が続かない。

「初めまして。東野圭吾といいます」

いつの間にか圭吾さんは私の隣にきていて、そして頭を下げる。

何気ないことなのに、ドキドキして嬉しくなってしまうのは私だけだろうか。

「初めまして。遠いところわざわざありがとうございます。どうぞ、上がって下さい」

「はい、失礼します」

お母さんに言われ、圭吾さんの後に続いて家の中に入る。
いつの間にかお父さんの姿はなく、先に部屋に行ってしまったみたい。

お母さんに続いて圭吾さんとリビングへと行くと、お父さんはこんな時までソファーに座り新聞を読んでいた。

「お父さん、私菜々子とお茶入れてきますから、東野さんとお話してて下さいね」

えぇー!?お母さん、そんないきなり!?

横にいる圭吾さんを見ると、圭吾さんも困ったように私を見つめてくる。
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