君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「遠慮しないで食べて。俺の奢りだから」

「…ありがとうございます」

もはや笑顔を作る気力もなく、思ってもいないお礼の言葉を口にする。

「いただきます」

目の前では副社長が念願のマロンケーキを美味しそうに頬張っていた。

こうなったらもう仕方ない。タダでケーキが食べられるし、なによりケーキには罪はないし美味しく食べさせてもらおうじゃない!

「いただきます」

紅茶を一口飲み、ケーキを食べる。

「…美味しい」

「でしょ!?俺もここ発見したときはもう感動でさ。最近よく来るんだ」

え…よく来るってまさか。

「…もしかして副社長、最近よくお一人で外出されてましたけど、それってここに来るためだったんですか?」

「そうだよー。この時間あまり人がいないから男一人でも平気だろ?」

平気だろって…。
つい想像してしまう。今みたいに副社長が幸せそうにケーキを頬張る姿を。

「あははは!全然平気じゃないですよ!」

想像すると笑えてしまう。だってあの副社長が一人でこっそりケーキを食べに行っていたなんて。

…って!!しまった!つい笑ってしまった。

「あ…すみません、笑ってしまって」

しかも大きな声で本気で笑ってしまった。気分悪くしただろうか。

だけどそう思っていたのは私だけで、副社長からは意外な言葉が返ってきた。
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