君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「なんで笑うのやめちゃうの?可愛かったのに」

「…は?」

今なんて言った?

相変わらず副社長はにこにこ笑っているだけ。

「だから可愛い。櫻田さんって俺の前じゃいつも不機嫌な顔ばかりだから、新鮮だったのに」

「そ、それは副社長がそんな顔にさせることばかり言ってきたり、されたりするからです!」

いつもの冗談なのに、一瞬ドキッとしちゃったじゃない。

そんな自分が酷く恥ずかしく思えて誤魔化すようにケーキ口いっぱいに頬張る。

「それは勿論分かっているよ。だってわざとやってるし」

「ならもうやらないでください!」

「だけどさー…最近の不調の原因は俺じゃないだろ?」

「…え?」

副社長の言葉にケーキを食べる手は止まり、副社長を見つめてしまった。
いつもの読めないにこにこ笑顔じゃなくて、ただじっと私を見つめてくるその瞳に、なぜか高鳴る鼓動。

「今日の仕事だってけっこう前から頼んでいたものだよね?なんか最近元気ないし、いつものようにスピードもないしさ。…上司としては気になっちゃうんだけど」

「…すみません」

驚いた。まさか気付かれていたなんて夢にも思わなかったから…。

副社長の言う通りだよ。
最近の私は仕事に集中できないでいる。そしてその原因は自分でもちゃんと分かってる。
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