君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
そう思っていたのに、そんな私の考えは見事に裏切られた。

「そんなの辞めさすわけねえだろ!?」

「え…」

珍しく大きな声を出し、そして立ち上がる副社長。

「なに?言われたの?結婚するなら仕事辞めろって」

「いっ、いいえ。…違います!ただ私がふと聞きたくなっただけです!」

「…本当に?」

「はい!」

じっと私を見つめる副社長。
少しして信じてくれたのか、ホッと安心したようにゆっくりと椅子に座る。

「なんだ…。やめてよね、そんな冗談じゃないような冗談を言うのは」

「…すみません」

意外すぎて驚いた。
まさか副社長からそんな言葉が返ってくるとは思わなかったから…。

「…知ってるでしょ?」

「え?」

「俺、櫻田さんがいないと仕事できないって。…謹慎中に充分分かってもらえたと思うんだけど、伝わってなかった?」

「それは…」

なにしてるのよ、私。

「熱出した時だって本当、櫻田さんが秘書でよかったって思ったし」

いつもみたいに「からかわないでください」って言えばいいじゃない。

「だから辞めたりなんてしないでよね?…いつか俺、社長になるし。ずっと俺の秘書でいてよ」
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