君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
それにしても面と向かって「嫌い」だの言ってくるとは、さすが橘だなと思う。
理解できないとか…どれだけ俺は橘に嫌われているんだ?

「…でも橘が一緒にいてくれるなら安心だな」

あんな風に言ってきたのは、それだけ橘は菜々子のことを大切に思ってくれているからだろ?

俺も…そろそろちゃんとけじめをつけないとな。

そんなことを思いながらも仕事に取り掛かった。

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「昨日も特に副社長からなにもされなかったようですよ?本人も食欲もあるし、元気です」

「そうか」

三日後の金曜日。
あの日から毎朝、スケジュールの確認をする際にこうやって菜々子の様子を橘から聞くのが日課となっていた。

「…だいぶ時間経ちましたけど、いつまで沈黙を貫いているおつもりですか?…菜々子はなにも言いませんけど、絶対東野さんからの連絡を待ってると思いますよ?」

「…あぁ」

それは俺だって同じ。いつでも会える距離にいるというのに会えないのは辛い。

「見てて辛いんですよ、…あの子が無理して笑っているのが。無力すぎる自分にも嫌になる。…なので早くどうにかしてくれませんか?」

照れくさいのか手帳で顔半分隠しながら俺を見る橘。

「…ちょっといいか?」

そんな橘に声を掛け、開発部を出てやってきたのはこの時間誰もいないミーティングルーム。
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