君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「…考えておくよ」

そう言うと、橘も満足気に笑った。

「さて。今日も残業するわけにはいかないので、もう仕事に戻ってもいいですか?」

「悪かったな、時間を取らせてしまって」

ミーティングルームのドアを開ける。

「…ありがとうな、話聞いてもらって」

ドアを塞ぐように立ちそう言うと、橘の顔はみるみるうちに赤くなっていく。

「なっ…!なに柄にもないこと言っちゃってすんですか!気持ち悪い!!」

まるで子供のようにプイっとそっぽ向く橘。相変わらずな様子に笑ってしまった。
だけどそれがまた橘の怒りに触れてしまったようで、顔を赤くさせたまま言ってきた。

「本当に菜々子の趣味が分からないわ!こんな男のどこがいいのかしらっ!」

酷いことを言われているのに、なぜか嫌な気持ちにはならない。
それはきっと分かってしまったから。橘亜希子という女がどんな奴なのかってことが。

怒ったままこちらに向かってくる橘。ドアを押さえて先に橘が出ていくのを待っていると、なぜか俺の前で橘の足は止まり、こちらを見ることなくゆっくりと話し出した。

「…さっきの話、ちゃんと剛さんにも話してあげて下さいね?あんな風に見えますけど、二人のこと凄く心配しているんです。素直じゃない人だから、そんなこと東野さんには言わないと思いますけど。でもきっと話してくれたら凄く喜ぶと思うので」

「……」
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