君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
「櫻田さんと東野君って結婚するって言っているけど、実は脆い関係なんじゃないかなって思ったんだ。俺が東野君に櫻田さんが好きだって言った時も余裕なさそうだったしね。少しずつ崩していって、この出張で一気に奪おうって思った。…なんかあったんでしょ?二人と大貫さんの間に」

「副社長…」

驚いた。気付いていたなんて。

「俺のプランでは、大貫さんと櫻田さんを接触させればきっと今とは違う方向に進むと思った。…櫻田さんさ、東野君と喧嘩してるでしょ?」

「…えっ!?」

「あっ、やっぱりね」

…やられた。

「そんな時に大貫さんと会えば、二つのパターンが考えられる。一つは東野君との間に亀裂が入るか、…それかさらに二人の関係は深まるか。……どうやら後者だったみたいだけどね」

そう言うと副社長は運ばれてきたカクテルを一口飲む。

「前者だった場合に備えてここ予約しておいたんだ。弱ってる櫻田さんを落とす場所としてね。だけどこうやって二人で来られてよかったよ」

副社長…。

言わなきゃ。ちゃんと。

「…あの、この前も言いましたけど私はー…」

「言わなくていいよ!…分かってるから。櫻田さんの言いたいことは」

声を張り上げ、無理に笑顔を作ってそう言う副社長に胸が締め付けられる。

でもだめよ、やっぱり。

「ごめんなさい、それでもちゃんと言わせて下さい」
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