君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
そうやって中途半端なままなのが一番だめなんだよ。

「言わせてもらいます。…だってそうじゃないと私も副社長も前に進めませんから」

「……それってちゃんと振られろって言いたいの?」

「そうです」

すぐにそう答えると副社長は一瞬驚くが、すぐに笑い出す。

「あはは、本当、それきついんだけど」

「そうですけど…でも言わせて下さい。副社長が本気で言ってくれたなら、私だって本気で答えなくてはいけないですよね?」

これからも一緒に仕事を続けていくなら尚更よ。

「…分かったよ。じゃあちゃんと櫻田さん振られる」

副社長の言葉や仕草にさっきから胸が痛い。

「…副社長のことは上司としてとても尊敬しています。普段はとてもふざけてますけど。でも仕事に対する姿勢は本当に学べるものが沢山あります」

「普段はふざけてるっていうの余計だけど。…でもありがとう」

「そんな副社長に好きだって言ってもらえて嬉しいです。…でも私はやっぱり圭吾さんじゃなくちゃだめなんです。この前、副社長が人の気持ちなんていつかは変わるって言ってましたけど、そんなことありません。…確かに喧嘩したり、意見が合わなかったりしますけど、でもそうやってぶつかってお互いの気持ちを理解して。少しずつ気持ちが変わりながらもずっと一緒にいたい人なんです」

好きって気持ちの形を少しずつ変えていきたい。だって同じ好きの気持ちも変わるものだと思うから。
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